【妊活】不妊治療とは【2020年版】(前編)ー不妊の原因、年齢ごとの成功率、治療のステップアップ

こんにちは!for Millennialsの編集者のサボテン(@forMillennials1)です。
今回の記事は、不妊治療のまとめ記事です。
前編の今回は、不妊の原因、年齢ごとの不妊治療の成功率、治療のステップアップについて見ていき、後編で、不妊治療の平均費用、今後の保険適用の検討の動きなどについて見ていきます。
<目次>
- 不妊治療とは
- 不妊の原因
- 年齢ごとの不妊治療の成功率
- 不妊治療のステップアップ
- 不妊治療の平均費用(後編)
- 不妊治療への保険適用(後編)
- ⑴ 不妊治療への保険適用の現状
- ⑵ 不妊治療への保険適用の今後
最初に、不妊治療とは何かというところをざっと見てみます。
まず、不妊治療の対象となる「不妊症」とは何でしょうか?
不妊症かどうかを決める基準は、
避妊をしない性生活を送っている中での「妊娠しない期間」
です。
日本の場合、海外の基準と合わせ、2015年以降、日本産科婦人科学会が、不妊症かどうかを決める「妊娠しない期間」を1年間と定めています。
ですので、避妊をしない性生活を1年間送っているにもかかわらず、妊娠をしない場合、その人は不妊症、ということになります。
不妊の原因については、従来は女性側にのみ原因があると考えられていましたが、現在ではそれが間違っていたことが分かっています。
スペインの州政府公認の妊娠・不妊メディアのinviTRA.comによると、2018年時点で、
不妊の原因として、男性側の原因が30%、女性側の原因が30%、男女双方の原因が20%、原因不明が20%という結果になっています。

出所:invitra.com, Causes of Infertility
なお、この不妊の原因の男女比率については、WHOの調査結果含め様々なデータがあります。
しかし、重要なことは、男女双方に不妊の原因があり得るのだということを認識することでしょう。
女性側の不妊の主な原因としては、以下のようなものがあります。
今回の記事では詳細には立ち入らず別記事で扱いたいと思いますが、このようなものがあるのだ、と認識いただければと思います。
- 加齢 :30代半ばになると、妊娠率・出産率ともに減少し始めます
- 卵巣の問題 :排卵の問題、あるいは卵子の質に問題があるケース
- 卵管の問題 :「卵管内腔病変」(卵管の中が詰まっていたり、狭くなっていたりする症状)や「卵管周囲病変」(卵管の外側・周辺部に病変があったり、卵管の周囲が癒着していたりする症状)などがあります
- 子宮頸部の問題 :精子の卵子への経路を妨げてしまうようなケース。抗精子抗体が精子を攻撃してしまう場合など。
- その他子宮の問題 :子宮筋腫、子宮内膜の発達不良 など
ちなみに、海外の保健関係の公的機関のHP(米国のCDCなど)では、男女ともに、喫煙や肥満も不妊のリスクを高める、ということも記載されています。

現在喫煙をされている方は、妊活・不妊治療を機に止めてみたり、運動・ダイエットを行うのも良いのではないでしょうか。

男性側の不妊の主な原因としては、以下のようなものがあります。
こちらも、詳細は、今後執筆する別の記事に譲りたいと思います。
- 加齢 :女性ほど年齢は重要でないものの、男性のパートナーが40歳以上であるカップルは、妊娠が困難になる場合があります
- 精巣の問題 :先天性欠損症、あるいは、外傷などの後天的な欠陥によるもの(精索静脈瘤や睾丸炎など)
- 射精機能の問題 :精巣上体、精管、尿道などの精管の異常や障害など
- 精子障害 :乏精子症、無精子症、精子無力症など精子に何らかの問題がある場合
喫煙や肥満が不妊のリスクを高めるのは女性の場合と同様です。
また、アルコールの過度の摂取が精子に与える影響もあるようですので、妊活中、特に排卵日前の性生活では、過度な飲酒は控えましょう。

続いて、年齢ごとの不妊治療の成功率を見てみましょう。
この点については、日本産婦人科学会が、毎年ART(※体外受精を含む生殖補助医療)の実施結果を集計・公表しています。
これによると、女性が32歳までは、生殖補助医療1回あたりの妊娠率・出産率ともに横ばいです。
32歳までは、生殖補助医療1回あたりの妊娠率は20%台後半で横ばい、同出産率は20%台前半で横ばいです。
ですが、33歳を境に、生殖補助医療1回あたりの妊娠率・出産率ともに低下し始めます。
36歳では、生殖補助医療1回あたりの妊娠率は24%、同出産率は17%に。
38歳では、生殖補助医療1回あたりの妊娠率は20%、同出産率は14%に。
40歳では、生殖補助医療1回あたりの妊娠率は15%、同出産率は9%まで低下します。
このように、加齢とともに、体外受精を含む不妊治療の成功率は下がっていきます。

不妊検査で異常なしという結果になった場合、一般的には、「ステップアップ」と呼ばれる方法で、負担の少ない治療から順に行うことになります。
タイミング療法(タイミング法) ⇒ 人工授精 ⇒ 体外受精 の順です。
ちなみに、タイミング療法と人工授精は「一般不妊治療」とも呼ばれます。
それぞれ見ていきます。
タイミング療法とは、排卵と性行為のタイミングを合わせる方法です。
ちなみに、タイミング療法でよく言われるように基礎体温でタイミングをはかるのは、精度に問題があることが分かってきています。
体温の上下と排卵の引き金となるLH(黄体化ホルモン)の増加にズレが出ることが多いためです。
そのため、より精度を求めたい場合は、市販の排卵検査薬を使うか、診察を受け医師による超音波検査を受けると良いでしょう。
なお、最も妊娠しやすい日は、排卵日ではありません。
妊娠する可能性がある、という意味では、排卵日の6日前~排卵日の7日間が妊娠可能期間としてあり、この間で性行為をすれば妊娠の可能性があるのですが、
最も妊娠しやすいのは、排卵日の2日前です。
この排卵日2日前は医師による超音波検査で把握するほかなさそうです。
あるいは、月経周期の10日後くらいから、毎晩、あるいは2日に一度くらいの頻度で性行為を行う、というのも代替手段としてあります。
あまりタイミングを計りすぎると、それがプレッシャーとなってしまうこともあるためです。
(「タイミングED」という言葉をご存知でしょうか)
妊娠可能期間の間に、このくらいの頻度で性行為を行えば、妊娠の可能性は高まります。
ちなみに、精子はできてから日が浅い方が、運動性などの質が良いため、性行為の頻度を上げることには意味があります。
仕事で疲れている中で毎晩とか2日に1回はちょっと、、という方もいるかと思いますが、一度頑張って試してみるのも良いかと思います。
タイミング療法でうまくいかない場合、人工授精へとステップアップします。
人工授精は、カテーテルを子宮内に挿入し、雑菌などを取り除いた精液を注入する方法です。
排卵誘発剤を使った場合でも、人工授精の妊娠成功率は5~10%弱とされています。
ですので、年齢的に、すぐにでも子供が欲しい、というような場合は、数回試してダメであれば、早期に体外受精に進むことをお勧めします。
人工授精でうまくいかない場合、体外受精へとステップアップします。
目安として、タイミング療法、人工授精で1年間うまくいかない場合は、体外受精へとステップアップすることをお勧めします。
また、年齢によっては、もっと早いタイミングでステップアップするという判断もあると思います。
体外受精では、まず卵巣に針を刺し、吸引して体外に取り出します(採卵)。
取り出した卵子は、培養士が培養室で精子をふりかけ、受精卵ができたら培養した後に子宮に戻します(胚移植)。
体外受精の大まかな流れはこのような形です。
不妊治療といえば体外受精、というくらい、メジャーなものになりつつあります。
最近ニュースでご覧になった方も多いかと思いますが、2018年時点で、国内で生まれた子供のうち、
体外受精で生まれた子供が15人に1人
という統計結果もあります。
顕微授精は、このような体外受精の一つで、良く採用される方法です。
顕微授精では、文字通り顕微鏡を使いながら、精子を卵子の細胞質の中に注入し受精卵を作ります。

顕微授精の場合、薬を使わない「自然周期」と呼ばれる方法もありますが、薬を使って卵巣を刺激する方法よりも妊娠率が低いことが分かっています。
イギリスなどでも自然周期は国のガイドラインで推奨されておらず、薬を使った卵巣刺激法を女性たちに伝えることが求められています。
ちなみに、顕微授精のうち、薬を使った卵巣刺激法には、弱い刺激の方法として「簡易刺激」があります。
これより強い卵巣刺激の方法として「ショート法」や「ロング法」、「アンタゴニスト法」があり、こちらの方が簡易刺激よりも妊娠率が高いとされているようです。
この辺りは、専門的知見を持った医師に、どの方法が自分の体質に合っているのかを、様々な検査結果も踏まえて相談していただくのが良いでしょう。
今回の妊活・不妊治療記事は以上になります。
後編では、不妊治療の平均費用、保険適用の現状と今後について見てみたいと思います。
今後も、妊活・不妊治療、子育てなどに関する記事や体験談を提供していきますので、
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