【子育て】ADHDの子供の特徴、診断方法、接し方、症状緩和のポイントまとめ

こんにちは!for Millennialsの編集者のサボテン(@forMillennials1)です。
今回の記事は、子供のADHDについてです。
ADHDという言葉を聞かれたことがある方は多いかと思います。
異常に忘れっぽかったり、落ち着きがなかったり、周りの子供としょっちゅうトラブルばかり起こしていたら、ADHDを疑ってみることをお勧めします。
今回は、ADHDの子供の特徴や症状、診断方法、どのような接し方が良いのか、症状を緩和するためのポイントは何か、というところを見ていきたいと思います。
<目次>
- ADHDとは
- ADHDの子供の特徴・症状
- ADHDの子供の診断方法
- ADHDの子供との接し方
- ADHDの症状を緩和するためのポイント
ADHDとは
ADHDとは、Attention-Deficit(注意欠陥)・Hyperactivity(多動性)Disorder(障害)の略称です。
文字通り、注意力・集中力の欠如や、多動性・衝動性が主な症状です。
ADHDは、生まれつきの脳機能の偏りによって起きる障害で、自分の意思でコントロールができないという特性があります。
ADHDの子供はどのくらい存在するのか?
ADHDについてはこれといった統計が存在しませんが、潜在的な層も含め、日本国内では児童期には、5~10%程度という見解が一般的なようです。
子供のADHDのうち、男児と女児の割合は、2対1というのが通説となっています。
また、ADHDの子供のうち、6~8割が、そのまま成人期のADHDに移行するようです。
逆に、大人になってからADHDに発症する人も多く、そのような人の数の方が、子供時代から大人のADHDに移行する人よりも多いことが分かってきています。
ちなみに、米国では子供の11%がADHDという診断をされています。
ただし、この数字には、ADHDの症状があっても診断を受けていない子供の数は含まれていないため、実際にはもっと高い割合でADHDの子供が存在すると考えられています。
遺伝的要素の違いは考慮する必要があるとは思いますが、この米国の割合を踏まえると、先ほどの日本のADHDの子供の割合は、ある程度実態に近いものではないかと考えられます。
ADHDのメカニズムは?
子供のADHDの原因は、脳機能にあることが分かってきています。
原因①:ドーパミンとノルアドレナリンの働きが弱い
脳の神経伝達物質であるドーパミンが有効に働かないことがADHDの一因と考えられています。
また、同じく神経伝達物質であるノルアドレナリンの働きが弱いことも、ADHDの行動特性を引き起こしていることも分かっています。
原因②:前頭前野と尾状核の異常
また、ADHDの子供は、脳の前頭前野の血流量が少ないとされています。
前頭前野は、自分の注意や感情をコントロールしたり、状況に応じて適切な行動をとることを可能にする機能を担っています。
また、ADHDの子供は、尾状核が小さい傾向があるようです。
尾状核は、運動・行動をスムーズに行うための調節を担っています。
そのため、ADHDの子供の場合、これらの機能が弱い傾向があると考えられています。
ADHDの子供の特徴・症状は、以下の3点に集約されます。
ADHDの特徴①:不注意
ADHDの特徴②:多動性
ADHDの特徴③:衝動性
ADHDの特徴①:不注意・忘れっぽい
何かと忘れっぽくて、宿題や学校の連絡事項を忘れてしまったり、約束したことを憶えていなかったり、整理整頓が苦手であったり、忘れ物が多い子の場合、ADHDの特徴の一つである不注意・注意欠陥に該当する可能性があります。
特に女の子の場合、他の特徴・症状は見られないのに、異常に忘れっぽい、という不注意優勢型のADHDの子供が多いとされています。

ADHDの特徴②:多動性
集団行動が苦手で、授業中に体の一部を動かし続けたり、思いつくままに喋ってしまうようなことが目に付く場合には、「多動性」に該当する可能性があります。電車内で大声でしゃべり続けたり、じっとしていられず走り回ったりしてしまうような場合も「多動性」の行動パターンです。
男児の場合、この「多動性」と「衝動性」が多く特徴として見られる「多動性・衝動性優勢型」のADHDが比較的多いとされています。

ADHDの特徴③:衝動性
例えば、友達の使っているおもちゃをいきなり奪い取ったり、気に入らないことがあると友達をたたいてしまったり、列の順番待ちに割り込んでしまったり、といった行動がたびたび見られる場合、ADHDのの特徴・症状の一つである「衝動性」に該当する可能性があります。
「何かをしたい!」と思ったときに、周りの人の影響などを考える前に即、行動に移してしまうタイプ、と言い換えても良いかと思います。
多動性と同様に、こちらも集団行動が苦手なタイプに分類される子供に多いADHDの特徴です。

なお、ADHDは、3つの特徴・症状のいずれもが見られる「混合発現型」が最も多く、ADHDの子供の8割がこのタイプとされています。
ADHDの診断は小児神経科・児童精神科・発達外来などでの受診が必要
子供に上記のようなADHDの特徴・症状が頻繁にみられたときは、専門的な判断が可能な小児神経科、児童精神科、発達外来など、発達障害の専門医がいる医療機関で診断を受けることをお勧めします。
いきなり病院はちょっと、、という方は、地域の保健センター、児童相談センター、子育て支援センターなどの行政、幼稚園・保育園、学校の先生やスクールカウンセラーなどに相談してみるのも良いでしょう。
あるいは、かかりつけの小児科で発達障害の専門医を紹介してもらうのも良いでしょう。
ADHDの診断を受けることにためらいを持つ方もいらっしゃるかと思いますが、ADHDである場合、症状を抑えるための治療は専門医に相談するしかありません。
早めに専門医に相談・診断を受け、ADHDに該当する場合は必要な治療を開始した方が、子供にとっても、親や周りにとっても良いかと思いますので、
ひょっとして、うちの子はADHDなのかも、、と思ったタイミングで、早めに動かれることをお勧めします。
子供がADHDの場合、親も診断した方が良い
なお、ADHDの子供を持つ親も自身も、実はADHDであった、というパターンは多いようです。
子供がADHDであることが分かった時に、自分にも当てはまる点があることに気付き、診断を受けて初めて気付く、というパターンです。
親から子へADHDが遺伝する確率は2割~5割と言われていますが、子供がADHDである場合は、親もADHDである場合が多いようです。
ADHDであることが分かれば、対策の立てようもありますので、お子さんの診断と合わせて、ご自身も診断を受けてみることをお勧めします。

最後に、ADHDの子供とどう接したらよいのか、という点について見ていきます。
服薬などの医療的な対応は専門医に任せるとして、それ以外のところで親に何ができるのでしょうか。子供の成長段階別にご紹介します。
乳幼児期(0歳~5歳頃)
乳児期
まず、赤ちゃんの頃は、コリック(黄昏泣き)や夜泣きが通常よりも多くみられると、ADHDである場合もあるようですが、
この時点では、ADHDであるのかそうでないのかの診断は難しいです。
優しく声掛けをしてあげたり、抱きしめる機会を多めにしたりというところで、対応するほかなさそうです。
幼児期
次に、幼児期ですが、これくらいの時期から、特にADHDの男の子の場合は、園などで上述の多動・衝動的な行動が見られるようになります。
園の友達といつもトラブルを起こしていたり、先生の言うことを全く聞かなかったり、ケガや事故が異常に多い、といった具合です。
この時期の親としては、以下のような接し方を行うと良いでしょう。
- 外出時は、急に走り出したりしないように、絶対につないだ手を離さない
- ささいなことであっても、褒めるようにする(なるべく「プロセスほめ」※)
- 包丁や刃物に触れないようにしたり、コンセントの穴を塞いだり、室内の危険な場所のケアを行う
- 幼稚園・保育園の先生との情報連携を行う
※「プロセスほめ」については、「【子育て】子育てでついやりがちな間違いと改善策まとめ(前編)ー上手なほめ方と叱り方」をご覧ください。
児童期(6歳~12歳)
児童期になると、ADHDの子供は、宿題やプリントを忘れてしまったり、親や友達、先生との約束を忘れてしまったり、うまく整理整頓ができなかったり、授業中にじっとしていられなかったりといった症状が見られることがあります。
児童期のADHDの子供との接し方のコツは、以下の通りです。
- 忘れ物がないか、声掛けをするようにする(なるべくプライドを気付けないように)
- 宿題はなるべく自分でやらせるが、必要に応じて手伝うことを提案するようにする
- 視野に入ったものに気を取られ、それ以外のもの(宿題など)の集中力を失う傾向があるので、学習机にはなるべく物は置かない、壁に極力何も貼らない
- 同じ理由で、聴覚刺激も極力なくした環境にする(宿題をしているときに親がテレビを観るなどはNG)。
- 部屋の片づけや机の整理整頓がしやすいように、綺麗な状態を写真で撮っておいて貼っておくようにする
(絵や写真などの方が、ADHDの子供は理解しやすいようです。) - 極力叱らず、ささいなことでも褒めて自信を付けさせる(なるべくプロセスほめで)
- 学校の先生との連携・情報共有を密に行う
- 中学年などある程度物事が理解できるようになったら、ADHDの症状について説明し、理解したうえで症状と向き合えるようにする
思春期・青年期(13歳~25歳頃)
思春期の頃になると、ADHDの子供は、授業のレベルが上がって学校の勉強についていけなかったり、周りと比べて落ち込んでしまったり、友達ができなくて悩んでしまったりすることがあります。
この時期に親ができることは、例えば以下のようなことです。
- 苦手なこと・不得意なことを無理に克服させるようにしない
- 学習が大幅に遅れてしまっていたら、(子供が望めば)個別の家庭教師や個別塾に通わせる
- 興味を持つものや得意なことで力を発揮できるよう、機会の提供を行う
- 周りとの比較でなく、昨日の自分と比較するよう促す
- 押し付けでなく、本人の意思を尊重する
ここでは、ADHDの症状を緩和するためのポイントを紹介します。
ADHDの子供に不足しているドーパミンの生成を促す
運動の機会を提供する
子供に強制することはできませんが、もし可能であれば、子供に運動を促すのは、ADHDの症状を緩和させるうえで有効です。
運動は自然なドーパミンの生成を促しますので、ADHDの子供に不足しがちなドーパミンをある程度補うことが可能で、ADHDの症状を緩和する可能性があるためです。
小学生くらいまであれば親子でのスポーツや運動、山登りなどの外でのアクティビティに誘ってみるのも良いでしょうし、
色々なスポーツに興味を持つように促し、その後継続的にスポーツ・運動を楽しめる素地を作れると良いでしょう。
集団競技が苦手ということであれば、水泳や陸上、格闘技、ボルダリングなどのスポーツや、あるいはフェンシングなどの日本では比較的マイナーな競技を体験させてみるのも良いかと思います。

瞑想・マインドフルネス
こちらは少しハードルが高く思われるかもしれませんが、瞑想やマインドフルネスもADHDの症状を緩和する効果があることが研究で分かっています。
ちなみに、「【子育て】子供のストレスを取り除いてのびのび育ってもらうために必要なこと(後編)」でも紹介した通り、瞑想・マインドフルネスには、十分な運動や睡眠と同様に、子供のストレスを軽減させる効果があります。
本格的な瞑想は、厳格な方法論を学ぶ必要があるため子供にはハードルが高いですが、
マインドフルネスについては、Meditopiaのようなアプリや、子供向けの絵本もありますので、御関心ある方は親子でトライしてみるのも良いでしょう。

今回の記事は以上になります。
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