【子育て】子育てでついやりがちな間違いと改善策まとめ(後編)ー子どもの自己肯定感・自己効力感を育てるには

こんにちわ、for Millennialsの編集者のサボテン(@forMillennials1)です。
前編では、「【子育て】子育てでついやりがちな間違いと改善策まとめ(前編)ー上手なほめ方と叱り方」ということで、ついつい間違ってしまいがちなほめ方と叱り方について見てみました。
今回の後編の記事では、自己肯定感、自己効力感のある子どもにするために、親がどのように行動すべきかについて、NG行動と合わせて見てみたいと思います。
- 自己肯定感って?
- 自己効力感って?
- 子どもに自己肯定感・自己効力感を付けさせたいときに取るべき行動
- 子どもに自己肯定感・自己効力感を付けさせたいときに避けるべきNG行動
- 子どもの自己肯定感・自己効力感まとめ
自己肯定感とは、自らのあり方、存在価値、意義を肯定できる感情
自己肯定感(self-esteem)とは、「自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情」などを意味する言葉(実用日本語表現辞典)です。
言い換えると、自己肯定感とは、自分のすべてをありのままに受け入れ、どんな自分も好きになれること、とも言えます。
自己肯定感が高い子どもは、「自分が価値のある存在である」と感じていたり、自分に自信があったりします。
「自己効力感」とは「チャレンジする力」
今度は「自己効力感(self-efficacy)」についてです。
自己効力感とは、失敗を恐れずにチャレンジする力のことです。
松村亜里さんの「子どもの自己効力感を育む本」によると、自己効力感が高いというのは、次のような意味を含みます。
- 自分は周囲の人や物事に影響を与えられるのだという「信念」
- 自分は課題を解決し、目標を達成できるという「自信」
- 今はできなくても、努力すれば将来できるようになるかもしれないという「希望」
今はできなくても、努力すれば将来できるようになるかもしれないという感覚については、スタンフォード大学が実施した調査結果が注目されます。
学問、芸術、スポーツ、ビジネスなどの各分野で偉大な功績をあげた人とそうでなかった人の人生を30年間追い続け、比較した結果、スタンフォード大学の調査は、大きな功績をあげた人に共通しているのは、努力することによって能力を伸ばせるという思考だ、と結論付けています。
必ずしも、皆が成功した人になる必要はありませんし、そもそも皆が成功することは難しいですが、参考情報ということで、ご紹介いたします。
自己肯定感と自己効力感の関係性
松村亜里さんの「子どもの自己効力感を育む本」では、自己肯定感と自己効力感との関係について、以下のように整理しています。
自己効力感(挑戦する) ⇒ 自己効力感があれば成功しても失敗しても幸せアップ ⇒ 自己肯定感アップ
これを補強する材料として、「子どもの自己効力感を育む本」では、オーストラリア大学教授の社会心理学者ロイ・バウマイスター氏の研究を紹介しています。
同氏の研究によると、自己肯定感と、成功や幸せ、この2つは同時に高まる傾向があり、どちらかというと成功の喜びや幸せを感じるほど自己肯定感が高まる傾向が認められると報告しています。
先ほどの整理は、自己効力感がある子どもは失敗を恐れず何事にもチャレンジする、そうすると成功の喜びや幸せを感じる機会が増える、結果として自己肯定感も増える、というロジックです。
確かに、成功体験の数が増えるには、そもそも失敗を恐れずにトライする姿勢が不可欠ですので、子どもの自己肯定感を上げたい場合には、まずは自己効力感を上げてみるよう心掛ける必要があると言えそうです。
日本の若者の自己肯定感・自己効力感
続いて、自己肯定感・自己肯定感に関して、日本や若者に焦点を当てた調査結果をご紹介します。
内閣府の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度)」によると、日本の13歳~29歳の若者に対し、自分自身のイメージに関しいくつか質問をしています。
このうち、自己肯定感と深く関連すると思われる「私は自分自身に満足している」で肯定的に回答した若者の割合は45.1%、また、自己効力感に相当する「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」で肯定的に回答した若者の割合は51.5%という結果でした。

出所:内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度)」よりfor Millennials作成
日本の若者の自己肯定感・自己効力感を海外と比較した場合
それでは、自己肯定感・自己効力感を海外と比較してみるとどうでしょうか。
まず、同じ内閣府の調査結果によると、「自分自身に満足している」に肯定的に回答した若者は、7か国中で日本が最も低い45.1%。
肯定的に回答した若者の割合が最も高いのはアメリカの若者で、87.0%という驚異的な結果でした。
その他、イギリス、ドイツ、フランスも8割超が「自分自身に満足している」に肯定的に回答しています。
スウェーデンと韓国はこれらの国に比べるとやや低いですが、それでも70%超が肯定的に回答しています。
これらの国の結果と比べると、日本の45.1%という結果は相対的に低く、自己肯定感が必ずしも十分とは言えないことがうかがえます。

出所:内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度)」よりfor Millennials作成
続いて、自己効力感に相当する「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」について肯定的に回答した若者の割合は、こちら日本の若者が最も低い51.5%となっています。
最も高いのはフランスで87.4%となっています。
続いて、ドイツ(80.3%)、アメリカ(78.0%)、イギリス(76.1%)、韓国(71.6%)と続いています。スウェーデンはやや低く62.9%となっています。

出所:内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度)」よりfor Millennials作成
2つの調査結果から導かれる暫定的な結論
自己肯定感と自己効力感に関連するこの2つの国別調査結果ですが、2つの質問への肯定的な回答の相関係数は0.83と非常に強い正の相関関係にあります。
もちろん、相関関係がある=因果関係がある、ではありません。
ですが、先ほどのオーストラリア大学の研究結果も踏まえると、「自己効力感があると自己肯定感も増す」という仮説を補強する材料の一つと言えるのではないでしょうか。
ここまで、自己肯定感と自己効力感それぞれ見てきました。この2つの関係は、自己効力感があると自己肯定感も増しやすい、ということでしたね。
それでは、自己肯定感・自己効力感のある人間になって欲しいとき、親は子どもにどのように働きかければ良いのでしょうか?
取るべき行動①: 子どもの能力や結果でなくプロセスをほめる
前編の記事(「【子育て】子育てでついやりがちな間違いと改善策まとめ(前編)ー上手なほめ方と叱り方」)でも触れましたが、子どもの頑張りなどのプロセスを具体的にほめることは、能力・外見や結果をほめるよりも効果がある、ということでした。
海外の実験によると、「プロセスほめ」をされた子どものうち92%が、より難しい問題にチャレンジしようとする姿勢を見せたほか、そのような難しい問題を解くのが楽しかった、と回答し、その後行なった追加的な実験で、「プロセスほめ」をされた子どもたちは、成績が約90%も上昇した、という結果でしたね。
必ずしも良い点数が取れなくても、努力・プロセスをほめることでより難しい問題にチャレンジするようになるというのは、まさに自己効力感にプラスの効果があったということです。そして、成績が上がるという成功体験がもたらされることによって、自己肯定感も向上します。
取るべき行動②: 自然や生活体験の機会を子どもに豊富に与える
こちらは、国立青少年教育振興機構が小学生、中学生、高校生を対象として実施した調査結果です。この調査結果では、次のような傾向がみられました。
- 自然体験や生活体験が豊富な青少年ほど自己肯定感が高い。
- 自己肯定感を構成する6つの項目の中でも、「体力に自信がある」という項目は、どの学年においても他の5つの質問(「学校の友達が多い方だ」「学校以外の友達が多い方だ」「自分には、自分らしさがある」「今の自分が好きだ」「勉強は得意な方だ」)との相関が高い。
出所:国立青少年教育振興機構 「青少年の体験活動等に関する実態調査」 (平成24年度調査)報告書
ここでいう自然体験とは、例えば、海や川で遊んだり、星を見たり、生き物と触れ合ったり、山登りをしたりキャンプをする機会などです。
また、生活体験とは、掃除や料理の手伝い、自分より小さい子どもや赤ちゃんと触れ合う機会などです。
自然体験や生活体験が豊富な子どもほど、自己肯定感が高くなるというのは驚きですね。
この調査結果に関する仮説としては、自然体験や生活体験を経験する機会が増えれば、一つの物事(例えば虫を捕まえて観察するなど)を満足するまでやり切る機会が増える。そして、やり切ることが成功体験となり、自己肯定感が増す、ということかもしれません。
あるいは、豊富な自然体験や生活体験を通じて運動能力が上がることが、成功体験や自身となり、自己肯定感を構成する他の要素にポジティブに作用しているということかもしれません。
いずれにしても、子どもの自己肯定感を育みたい方は、一緒に外に行って自然と触れ合う機会を増やしたり、あるいは日常生活の中で、家事を手伝ってもらうなどの機会を意識的に増やすと良いでしょう。

こちらはより深くこの論点について調べてみたい方向けの情報ですが、スタンフォード大学で新入生担当の学生部長でもあったリスコット・ヘイムスは、「家事は重要です。子ども時代に家事を経験したかどうかは、将来的に精神的に成熟した人物になるどうかや、仕事で成功するかにも関わってくる。」という趣旨のことをTEDで述べています。また、彼女は、強く、くじけない子どもにするには、時には親が子どもたちに間違いを経験させ、自己効力感を身に付けさせることも必要、とも述べています。
彼女のTEDでの講演は日本語訳もされていますので、ご関心のある方はどうぞ。
取るべき行動③:無条件の愛情を注ぐ
最後に、子どもの自己効力感、自己肯定感を伸ばすために必要なのは、無条件の愛情を注ぐことです。
取るべき行動①とも関係しますが、例えばテストの結果などに着目して子どもをほめたり、あるいは逆に、点数が低いときに叱ったりすることは、条件付きでしか親に愛されていない、という誤ったメッセージを子どもに伝える可能性があります(この点に関しては、前編記事「上手なほめ方と叱り方」もご覧ください。)。
子どもが例え失敗したとしても受け入れて愛情を注ぎ続ける姿勢を見せることで、子どもたちは安心し、物事に積極的に取り組むことができるようになるのです。つまり、自己効力感を伸ばすことができるのです。
また、前述のリスコット・ヘイムスも、TEDの講演の中で、ハーバード大学の研究を引用しながら、「親に深い無条件の愛情、無償の愛情を注がれた子どもは、自分自身、そして他者も愛せるようになるが、このことは、後の人生での幸福や、成功に大きく寄与する要素の一つである」という趣旨のことを述べています。
子どもに対して、何があっても、彼ら彼女らが何をしたとしても、愛している、ずっと味方である、ということを「子どもに分かるように」伝え続けてください。
そうすれば、子どもたちは自分自身を愛し、自分自身に対して肯定的になることができるでしょう。それは、親として皆さんが子どもに望んでいることでもあるはずです。

今度は、子どもの自己肯定感や自己効力感を伸ばしたいときにとってはいけないNG行動を見てみます。
プロセスでなく、能力や結果をほめるのはNG
これは、先ほどのプロセスほめに関するところや前編記事で触れたとおりですね。
子どもに対して、「頭が良いね」「天才だね」「運動神経抜群だね」など能力に着目したほめ方をすると、努力やプロセスをほめた場合よりも子供は難しいことにチャレンジする姿勢が見られなくなる可能性があります。
これは、例えば、「ママは『頭が良いね』とほめてくれるけど、僕がテストで悪い点を取って頭が悪いと思われたら、ママは僕を嫌いになってしまうかも…」という、失敗に対する「恐怖」を芽生えさせるためだと考えられます。
結果をほめるのがNGなのも、これと同じ理由ですね。
テストで良い点を取って「偉いね」「すごいね」などと結果をほめ続けることは、「もし良い結果でなかったとしたら、パパやママは僕を嫌いになってしまうかも…」といった恐怖心を同時に子どもに植え付ける可能性があります。
そうすると、難しいことにチャレンジすることをためらうようになってしまい、自己効力感を育むことができないのです。
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- 自己肯定感とは、「自分のすべてをありのままに受け入れ、どんな自分も好きになれること」
- 自己効力感とは、「失敗を恐れずチャレンジする力」
- 自己効力感が伸びれば自己肯定感も伸びる
- 子どもの自己効力感を伸ばすためには、能力・結果でなく子どもの努力やプロセスをほめる
- 自然体験や生活体験を多く経験させることも、自己肯定感を増す効果がある
- 無条件の愛情を注ぐことも重要。例え子どもが失敗したとしても叱らずに常に味方で、愛しているということを、子どもに分かるように伝え続けることは自己効力感と自己肯定感を伸ばしてくれる。
親としては、自己肯定感・自己効力感のある子どもになって、すくすくと育ってほしいですよね。
そんな皆さんの子育てでの参考になれば幸いです。
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